男子、大城戸(大阪府警) 初優勝!女子、初出場の阿部(警視庁)が山本(大阪)から勝利!
男子決勝、大城戸(大阪)が上段・野田(岐阜)からメンを奪い初優勝!
2016/9/6(火)、全国警察剣道選手権大会が東京・日本武道館で開催された。
都道府県各警察の代表選手と前回大会結果等の出場選手を加え、男子122選手、女子92選手がエントリーした個人戦。試合は時間無制限1本勝負。
まず、今大会は優勝候補が序盤戦で立て続けに姿を消す、近年まれに見る波乱の多い大会となった。1回戦で敗退した正代正博(警視庁)、竹ノ内佑也(警視庁)、前回大会三位の松井祐一(京都)、2回戦で内村良一(警視庁)、畠中宏輔(警視庁)、勝見洋介(神奈川)、安藤翔(北海道)、3回戦で國友錬太朗(福岡)、竹下洋平(大分)などが序盤で敗退した。そして強豪選手に勝った選手も、その後の試合で敗退する選手の多く、今大会には負のスパイラルが生じた。特に警視庁勢は全滅とも言える結果となったが、10月の全国警察団体戦では大阪とともに1部優勝候補であることは間違いない。
選手はコンディションや好不調があり、団体戦、個人戦でも試合展開が変わるものだが、強豪選手が勝ちきれない状況が同時に起こることが、もし2年後の世界大会・韓国でもおこってしまったら、苦しい状況になってしまう。しかし、選手達は日々の稽古、強化会、そして試合を通し課題を克服するだろう。今後の活躍に期待したい。
前回大会、初出場ながらその実力と圧倒的な勢いが噛み合い優勝を果たした土谷(大阪)は4回戦まで勝ち上がり、昨年の全日本王者・西村と対戦し、試合時間8分が経過した頃に引きメンを決めた西村が勝利しベスト8へ。準々決勝では岡光(千葉)との対戦。岡光は、2回戦で正代(警視庁)に勝利するなど、勢いに乗り、準々決勝でも西村相手に思い切りのいいメンを放ち勝利した。そして、岡光は準決勝で上段の野田(岐阜)と対戦。野田は昨年の全日本選手権で3回戦へ進出するなど実績を残している選手。今大会では4回戦で足立(埼玉)、準々決勝では合屋(京都)と勢いのある若手選手から勝利し準決勝まで勝ち上がってきた
野田と岡光の準決勝は、わずか15秒で野田が上段から狙いすました片手メンを決めて決勝進出を果たす。
警察大会で強さを発揮する上段・野村(神奈川)。前回大会二位など近年の大会では常に上位へ進出しているが今大会では2回戦で木谷(愛知)から勝利し勝ち上がり、4回戦では安藤(北海道)に勝利した牛島(大阪)と勝利した試合は全て片手メンで勝利しベスト8に駒を進め、準々決勝で大城戸(大阪)と対戦。大城戸は3回戦で國友(福岡)。4回戦で中澤(高知)から勝利して勝ち上がった。
大城戸と野村の準々決勝、大城戸は足を使った攻めは見せず間合いを詰めすぎないように注意しながら試合展開。野村も長身の大城戸を警戒してか思い切った技を出せない状況が続く。試合を決めた一本は、大城戸がこの試合で唯一といっていい思い切った技、諸手ツキを放ち勝利した。
大城戸の準決勝の相手は、大阪府警の後輩である前田。前田は鹿体大4年時の全日本学生団体では当時筑波大の竹ノ内、國士舘の高倉などを大将戦で下し優勝へ大きく貢献し、卒業後に大阪府警に奉職した2年目の若手選手。3回戦では佐藤(千葉)、4回戦では実力選手の嶋田(埼玉)、準々決勝では坂口(和歌山)に勝利し準決勝へ勝ち上がった。
大城戸と前田の準決勝。前田は掛かる気持ちで積極的に間合いを詰める。堂々した構えからじっくりと見極める大城戸。5分以上前田は攻め続けるが突破口を見いだせず、最後は、この試合でも大城戸は一撃のコテを放ち勝利した。
決勝戦、上段の野田(岐阜)、そして大城戸。立合いでは野田の片手面を警戒し間合いを詰めた大城戸、その後はジッと野田の上段左小手に照準を合わせる。見るからに懐の深そうな大城戸の構えに野田も攻め込めず、打ってもかわされ後打ちを狙われ、試合中盤には上段の手元が下がったところへ大城戸が面を合わせるも審判の旗は1人が上げたのみ。その後も野田は攻めるが封じ込まれ、最後は野田の攻めに合わせて放った大城戸のメンが一本となり優勝を決めた。
女子、前回大会は山本真理子(大阪)が優勝し、昨年9月の全日本女子選手権では松本弥月(神奈川)が優勝を果たしている状況。そして、今大会に両選手も当然エントリーし、強豪選手としては前回大会三位の柴田結(警視庁)、正代小百合(警視庁)、渡邊タイ(熊本)、津田佳菜子(兵庫)、そして初出場、法政大出身2選手、髙橋萌子(神奈川)、阿部美洸(警視庁)が参加した。しかし、男子同様に女子にも強豪選手が序盤で姿を消す状況があり、正代、津田、柴田がシード2回戦で敗退した。
山本は強豪選手との試合が続くも、粘り強く無尽蔵のスタミナで動き続け勝ち上がり、決勝へ勝ち進む。3回戦で髙橋(神奈川)と30分に及ぶ試合をし最後は諸手ツキで山本が勝利。準々決勝は渡邊(熊本)と15分、コテを決めて準決勝へ勝ち上がり、対戦相手は大阪府警の後輩で森山。日体大を卒業して今年から大阪府警に奉職した新人選手。今大会では4回戦で田中、準々では河田と警視庁勢から勝利し準決勝へ進んだ。準決勝では先輩・山本が鋭く攻め森山の手元を上げさせコテを奪い、決勝進出を決めた。
優勝候補・松本(神奈川)は序盤戦を勝ち上がり4回戦で大学の後輩でもある阿部(警視庁)と対戦。30分に迫る試合を制したのは阿部、最後は松本の手元の上がった瞬間を見逃さずにコテを決めて勝利した。阿部は桐蔭学園高校、そして法政大学で数々の実績を残した強豪選手ではあるが、ずば抜けたパワーや特出したスピードを持って印象ではなく、判断力と瞬発力、試合の組み立てが非常に優れている選手。さらに阿部は準々決勝で、山本瑤子(大阪)の打ち終わりにコテを決め、準決勝では警視庁の同門、上段・三木から左コテを奪い決勝へ進出。
決勝戦は山本と阿部。この試合でも山本は、動きの中から機会を狙う。阿部は冷静に一定の間合いを保ち続け、山本にペースを握らせない。一進一退の攻防が30分近く続き、最後は阿部が攻めてコテを決めて初出場、初優勝を決めた。
ハイライト
結果トーナメント
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結果
男子
- 優勝 大城戸 知(大阪)
- 二位 野田 了(岐阜)
- 三位 岡光健太郎(千葉)
- 三位 前田康喜(大阪)
- ・ベスト8
- 西村英久(熊本)
- 合屋 龍(京都)
- 坂口拓磨(和歌山)
- 野村洋介(神奈川)
女子
- 優勝 阿部美洸(警視庁)
- 二位 山本真理子(大阪)
- 三位 森山加世(大阪府警察)
- 三位 三木聖代(警視庁)
- ・ベスト8
- 渡邊タイ(熊本)
- 河田百恵(警視庁)
- 磯田菜摘(滋賀)
- 山本遥子(大阪)