【2010年インタビュー 】 第4回 学生王者 鹿屋体育大学 木谷洋亮 前編

学生王者 鹿屋体育大学 木谷洋亮

自然が一番!!だから強くなれたんです。

「田舎ものって思われても関係ない。
いまのオレがあるのは、大自然で育ったから。」
と言い切った木谷選手。
その強さは、「環境」にあった。
山で育ち、恵まれた先生、先輩、仲間・・・
なにより「剣道が好き」ということ。
それはどんなに苦しくても「続ける」モチベーションとなる。

努力は結果として現れた。
平成21年度全日本学生剣道優勝大会では
鹿屋体育大学の優勝に大きく貢献。
平成22年度全日本学生剣道選手権大会
初の個人タイトルを手に入れた。
そして、全日本学生優勝大会2連覇を目指す。
学生剣道界の「王者」木谷洋亮選手がLET’S KENDOに初登場!!

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兄貴が怖かった・・・

中2で全国大会2位。中学生までは背が低かったんです・・・と。
中2で全国大会2位。中学生までは背が低かったんです・・・と。

__インタビューを受けていただきありがとうございます!
木谷洋亮選手(以下:木谷):よろしくお願いします。
__早速ですが始めさせたいただきます。剣道をなぜ始めたのですか?
木谷:歳が6つ上の兄の影響で、5歳から育誠館道場で始めました。兄貴には、よく稽古でぶっ飛ばされてましたね。小学生の頃は、兄貴と稽古するのが本当に嫌でした(笑)。普段は仲がいいんですよ。稽古の時だけは・・・(苦笑)
__一番身近に、一番怖い「先輩」がいたんですね(笑)。小中学生の時は、どのくらい稽古をしてたのですか?
木谷:稽古の休みは月に1回くらいですね。
__ええ〜、小学生の時からですか!?遊んだりは?
木谷:学校が終わって、友達と野球をしたりとかはなかったですね。とにかく剣道が好きだったので、苦にはならなかったですよ。当時、遊びたいからって「剣道を辞めたい」と思った事も、稽古をサボった事もなかったです。

__そうですか〜 ご立派です!(笑)。成績はどうだったんですか?
木谷:小学生の時は良い成績は残せませんでしたが、中学2年の時に道場連盟の全国大会の団体で準優勝しました。決勝で、いばらき少年剣友会に4−1で負けました。悔しかったな〜。ちなみに1勝したのは自分です(笑)。
__チームが負けたら関係ないですよ!(笑)。
木谷:そうっすね(笑)。
__中体連の大会はどうでしたか?
木谷:1つ上に鴨宮康仁先輩という、自分の憧れの方がいたんです。自分が中2の時に、鴨宮先輩が全中の個人で優勝したんです。それを見て「自分達もやるぞ!」と思い、中3の時に団体で全中に出場しました。
__全中ではどうでしたか?
木谷:3校の予選リーグで、自分の竹原中が宮崎県大王谷中に勝ち、北海道の新十津川中に負けたんです。結局3チームとも1勝1敗になり、本数差で大王谷中が勝ち抜け、そのまま優勝してました。あ〜、悔しかったな〜。
__惜しかったですね〜! 剣道ばかりで、勉強の方はどうだったのですか?
木谷:兄弟が5人いて、みんな勉強ができるのですが、自分だけ・・・(笑)

毎日、道のない所を走ってました。

駅までダッシュで山を下る!
駅までダッシュで山を下る!

__了解しました! 広島県竹原市出身ということですが、どういうところですか?
木谷:結構・・・いや、かなり田舎ですね(笑)。実家が山の中にあったんですよ。近くに学校がなかったので、小学校も中学校も電車で通ってました(笑)。
__大変でしたね!
木谷:駅まで山道を歩くと15分くらいかかるのですが、林みたな、道のないところを走ってショートカットすると、5分で駅に行けるんです。小さい時は剣道か、山で遊んでました。そんな毎日でした(しみじみ)。今になって思うと「足腰が鍛えられていたのかな?」と思います。毎日遅刻しそうで、走って駅までいってたんですけどね(笑)。
__間違いなく鍛えられたと思います(笑)

稽古中に「しんどい」を超えると、楽しくなるんです。

高1、全国選抜で優勝!
高1、全国選抜で優勝!

__愛媛の帝京第五高校へ進学します。選んだの理由は?
木谷:鴨宮先輩が行っていたので、自分も行きたいと思いました。
__広島から愛媛へ行ったという事は、寮生活になるのですね?大変でしたか?休みや、広島に帰る事はありましたか?
木谷:まず、親の有り難さを知りました。掃除も洗濯もなんでも自分でやらないといけないので。実家に帰れるのは、お盆と正月の一週間くらいですかね。
__稽古はどうでしたか?厳しかったんじゃないんですか?
木谷:かなり・・・鍛えてもらいました・・・
__えぇ〜 それは〜 木谷選手の打ち方が悪く、元立ちの先輩の竹刀が、たまたま木谷選手のノドに数十回入ってしまい、アザになったような経験があるということですか?(笑)
木谷:その通りです!(笑)。鍛えていただきました!(笑)
__強豪校だと、よくある事ですよね〜(笑)。精神的にはどうでしたか?
木谷:剣道を始めた時から、稽古で当然肉体的に疲れることはあるのですが、精神的には辛くならないですね。
__剣道が好きなんですね(笑)。
木谷:稽古は、肉体的にも精神的にも「しんどい」です。ただ、稽古中にその「しんどい」を超えると、楽しくなるんです。例えば、かかり稽古を30分くらいやると、倒れそうなくらい疲れ、非常に「しんどい」です。だけど、なにかの拍子に「しんどさ」を超えるんです。そうなると、なぜか楽しくなるというか、「やったるぜ!!」ってなるんですよ(笑)。そう言う時は、稽古後に充実感、達成感がすごくあるんです。今は試合前の追い込み時期にそうなることが多いですね。
__マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用「ランナーズハイ」に似てるのかもしれませんね。目標としてた選手はいらっしゃいましすか?
木谷:道場と高校が一緒の鴨宮先輩と、勝見洋介先輩(倉敷高→鹿体大→神奈川県警)です。あっ高校生の時に、勝見先輩に手ぬぐいももらったことがあるのです。ある合同稽古でご一緒させていただき、その時に「手ぬぐいをください!!」とお願いしたんです。勝見先輩は、自分のために手ぬぐいを洗ってから渡してくれたんです!すごく嬉しかったですね〜。「カッコいい!」と思いました!
__だけどもうなくなっちゃったんですよね?(笑)
木谷:そんなわけないじゃないすか!(笑) 大切にしまってありますよ!!
ちゃんと書いてくださいよ〜!!(笑)
__失礼しました(笑)

女子を休ませるために、がんばってた!?

__高校の稽古はどうでしたか?
木谷:週3回の朝練と、平日は夕方、土日の午前の稽古です。朝練は体力トレーニングです。夕方の稽古は4時から8時くらいまでやってました。土日は、練習試合の時もありましたが、比較的少ない方だったと思います。大学系の大会などに出場することも少なかったです。ただ練習試合では、よく先生に怒られて、口の中が引き裂けてましたね(笑)。そういう経験があるから、いまがあるのだと思います、はい。
__良い事言いますね〜!! 印象的な稽古はありましたか?
木谷:先生1人、生徒男女各1名の3名1組になり、先生(元立ち)と1本勝負をし、負けるとかかり稽古です。自分は1本勝負で結構粘れることもあるのですが結局負けて、かかり稽古でボコボコにされるんです。終わったら女子が先生と1本勝負して、かかり稽古。で、女子がすぐに先生に負けちゃうんですよ〜(笑)。場合によっては一打ちで負けたり・・・ 自分が、ぜんぜん休めなくて、まるで女子を休ませるために、長く粘ってがんばってるみたいな(笑)。
__カッコいい先輩じゃないですか〜!! サボったりはしませんでしたか?
木谷:稽古に行かなかったことはないですね。稽古中に、ちょっと面を着けるのを遅くして先生に一番でお願いしにいかなかったりしましたね。わざと遅く付けたのを見破られまして、かかり稽古でエラい目にあったことがあります(笑)。

優勝旗返還だけ行きました・・・

2年生の選抜は、優勝旗返還のみでした・・・悔しかった。
2年生の選抜は、優勝旗返還のみでした・・・悔しかった。

__サボれない、手も抜けいないんですね(笑)。レギュラーとして試合に出場し始めたのは?成績はどうでしたか?
木谷:1年生の8月からです。3年生が引退してからですね。1年の3月、全国選抜に副将として出場し、優勝しました。四国大会は2年生で優勝、3年生の時は2位でした。
__選抜の優勝は特にすごいですね!2年生の時の全国選抜はどうでしたか?
木谷:予選で負けたので、優勝旗返還だけ行きました・・・(しょんぼり)
__あら・・・ ショックは大きかったのではないでしょうか?
木谷:すごく落ち込みました。監督も呆れていまいした(笑)。落ち込んでいる時に、先輩などに励ましてもらい復活しました!
__ということはインターハイも出場したんですか?
木谷:団体は負けちゃったんですけど、個人では出場しました!インターハイでは、負けちゃいましてけど(苦笑)
__出場できたのは、よかったですね〜!。さて、高校で実績を作り、大学進学となります。関東などの大学は考えていなかったのですか?
木谷:関東はまったく考えになかったです。勝見先輩がいる、鹿屋体育大学に行きたかったんです。そして、関東の大学に、西日本、九州の大学の強さを見せつけたかったんです。あとやっぱり都会より自然があったほうが落ち着きますよね(笑)。自分のわがままを、帝京第五の二宮先生のお陰で入学する事ができました。本当に感謝してます。
__大学の選択は木谷選手らしいですね。育った環境近かったり、憧れの先輩がいるだけでモチベーションも高くなりますよね。


木谷 洋亮(きたに ようすけ)

木谷 洋亮(きたに ようすけ)
昭和63年7月1日生まれ 広島県出身
剣道四段
・広島県・育成館道場にて剣道を始める。
・市立竹原中学校
・帝京第五高校
・鹿屋体育大学

※現在は愛知県警です
【育成館道場】全国道場連盟大会(団体)準優勝
【竹原中学校】全国中学校剣道大会 出場
【高校】全国選抜剣道大会 優勝、インターハイ個人出場
【大学】全日本学生優勝大会 優勝1回 3位1回、全日本学生剣道選手権大会 優勝


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