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インタビュー後編
体育大学なので、入学前はちょっとビビってましたが・・・
鹿屋体育大学
__そして、鹿屋体育大学への入学が決まりました。寮生活には抵抗はなかったと思います。ただ「体育大学」なので、高校以上に大変なことも多かったのではないでしょうか?
木谷:入学前はちょっとビビってましたが・・・ 実は、すごく良い環境なんです!!
__どういうことですか?
木谷:おそらく毎日合宿のような厳しい稽古をして、寮生活で先輩の付き人で大変な思いをして・・・ というような想像をしてませんか?
__そうですね。
木谷:ぜんぜん違います!!稽古は通常2時間、朝練は火曜日と木曜日のみ。上下関係も最低限で、稽古が終わったら先輩から弟のように可愛がっていただきました。
__その可愛がりは??(笑)
木谷:呼び出されて、すごく飲まされるとかじゃないっすよ!!基本的に剣道部は禁酒・禁煙なので、そういうことはないです。ご飯をおごってもらったり、一緒にゲームをしたり・・・ 友達みたない感じですよ。ちょっと言い過ぎかな、先輩に失礼ですね(笑)。
__それは意外です!!地獄のような1年生生活を送っていたのかと思ってました!!
木谷:自分も意外でした(笑)。本当にのびのびと剣道ができます。自分に合っていますね。サボったり、遅刻が続いたりしないかぎり、ヤラれることはなかったですし。別に稽古が楽ってわけではなく、「しんどい」稽古をしてますよ。剣道に集中できる環境が整っているという意味です。
__なるほど。ただ、場所は・・・
木谷:かなり田舎です!!(笑)。
__自然派の木谷選手らしいですね(笑)。いつからレギュラーとして試合に出場しているのですか?
木谷:有り難い事に入学し、1年生の時から使っていただいてます。
__すごいですね!部員は何名くらいいるのですか?
木谷:現在は110名くらいです。他の体育大学よりは部員が少ないと思います。田舎なので(笑)。
__田舎じゃないですよ、自然に恵まれた環境ですよね(笑)。成績はどうでしたか?
木谷:1年生の時は、九州大会個人で2位、全日本学生選手権(個人)ベスト16、全日本学生優勝大会(団体)は先鋒で使っていただき3位になりました。
__なんか1年生で4年分のタイトルというか、実績を残しましたね!
木谷:まんざら間違ってないですね・・・
__え!?冗談のつもりが・・・ まんざらというと?
オマエが負けたなしょうがない。
H21、全日本学生優勝大会で優勝
木谷:2年生になり、急に調子が悪くなったんです。九州大会個人でギリギリの成績で全日本学生選手権に出場するも、1回戦負け。全日本学生優勝大会は、先鋒で出場しベスト8。戦力的にも優勝できると思っていたので、試合に出場していない4年生の先輩達もたくさん日本武道館に来ていたんです。そんな中で、自分が準々決勝の先鋒戦で2本負けしたことにより、チームが負けてしまったんです。泣きながら先輩一人ひとりに謝りに行きました。
__先輩達は何と言ってましたか?
木谷:「オマエが負けたなしょうがない。」って言っていただきました。一緒に涙を流して悔しんでくれました。自分は、先輩に本当に恵まれてると思いましたし、自分1人だけの悔しさだけではなく、先輩達の悔しさを晴らすためにも、稽古に明け暮れました。
__そして3年生になり、復活、または悔しさを晴らすことはできましたか?
木谷:それが、あきれちゃうことに九州大会個人で1回戦負けでした。調子の良い時の感覚が戻らず、悩み、苦しみ、剣道を辞めたいとも思いました。しかし「先輩達の悔しさを晴らさなければいけない、それは全日本学生で優勝することにより果される」と思い、剣道を続けました。
__その「優勝」を目指す事が、さらにプレッシャーになったりしなかったのですか?
木谷:プレッシャーとかそういう次元ではなかったです。「優勝」することしか考えないでやりました。それ以外はなかったです。そして、自分を信じて稽古し、仲間を信頼して九州大会(団体)に臨みました。
__結果はどうでした?
木谷:中堅で出場し、優勝しました!復活の手応えを感じました。先生やチームメイトのお陰です。
__そして、最大の目標である全日本学生優勝大会ですね。
木谷:大会前、すごく調子が良かったです。チームの雰囲気も良かったし、「優勝できる!!」と思いました。そして、本当に優勝する事ができたんです!!本当に嬉しかった・・・(しみじみ)
鹿屋体育大学
H21、全日本学生優勝大会で優勝
__あの決勝で決めた面2本は完璧に近かったのではないでしょうか?すごく印象的でしたよ!!
木谷:ありがとうございます!!団体での優勝が最大の目標なので、本当にすごく嬉しかったです!!2年生の時の悔しい思いもありましたし、先輩達に少しは恩返しができなたかな?と思いました。
__先輩達も、そりゃ喜んでますよ!
木谷:そうであることを願います(笑)
__とにもかくにも完全復活ですね! そして冬の時期の稽古を行ない、今年の4月に最終学年4年生となりました。九州大会個人はどうでしたか?
木谷:3位でした。3年生の時の1回戦負けに比べれば、上出来だと思います。なにより、1回戦が今までに経験した事がないくらい緊張しましたね(笑)。
狙わないと優勝はできないです。
__結果が出せてよかったですね! 全日本学生選手権前の稽古はどうでしたか?
木谷:6月の1週目〜3週目に教育実習があり、母校の帝京第五高校に行ってたんです。二宮先生や高校生達と稽古して、原点に戻った思いでした。高校での稽古で「突き」の練習をしたんです。自分が高校生の時、結構突きを決めていたなって思い出しました。あと、インターハイ愛媛県予選で母校が優勝したんですよ。嬉しかったですね〜(笑)。後輩の姿を見たら、勇気をもらいましたね。
__試合前の仕上がりはどうでしたか?
木谷:実は、良くも悪くもなかったです。調子が良いと、試合でガンガン攻めて、隙をつかれて「ポカ負け」しちゃうんです(笑)。結構あるんですよね(笑)。今回は、悪い要素もあったので、それを補う意味でも集中し、悪かった時の対策も考えることができました。
__大会での目標は?
木谷:優勝を狙ってました!狙わないと優勝はできないですよ。どんな大会でも常に「優勝」を狙ってます。
__そして全日本学生では、強敵を下しながら準々決勝に進出し、同じ大学の竹下選手でした。どんな心境でしたか?
木谷:竹下は後輩なので、負けられない気持ちでしたね。勝てて良かったです(笑)。
__そして準決勝、反対側には、同じ大学の江島選手がいました。
木谷:二人で決勝をやりたかったですが、まず、自分の試合に集中しました。準決勝では「無心」で打つ事ができ、すごく強い選手ですが、勝つ事ができました。最後の一打は、勝手に体が反応しましたね。それだけの稽古もしてきたつもりですし。
たった一瞬の隙・・・
優勝を決めた突き
__ついに決勝戦です。対戦相手は、国士舘大学の石田選手でした。かなりの強敵ですよね?
木谷:間違いなく強敵です。小学生のころから知ってましたし、超有名選手ですよね
・・・ 文句なく強いです。それ以外の言葉はないですよ。
__対戦した事はあったのですか?
木谷:大学1年生の時に対戦し、引き分けました。
__そうでしたか。決勝戦は決着戦ですね。
木谷:いやいや、石田選手はまったくそん風に思ってないっすよ(笑)。ただ、石田選手に勝って優勝するれば、みんなに納得してもらえると思ったので、かなり気合い入りました。相手が強ければ、強いほどやる気になります。
__ちょっと話しが戻りますが、全日本女子学生では同じ大学の橋本選手も優勝してました。刺激を受けましたか?
木谷:橋本選手の優勝で、チームとして勢いがつきました。「男子も鹿体大から優勝者を出そう!」って。
__個人戦ではあるものの、団体戦の気持ちですね。決勝戦はどうでしたか?
木谷:まず、あの決勝戦の雰囲気。武道館の真ん中で、スポットライト、360度の観客席・・・ あの中で試合を出来た事は一生の思い出ですね。
男女と鹿体大が制す
__なかなか味わえないですよね。一握りの人しかあの場所には立てないですから。試合はどうでしたか?
木谷:「絶対に負けない!」という気持ちでした。しかし試合自体は、焦る事無く非常に冷静に行なえました。
__20分にも及ぶ試合でした。
木谷:そんなに長くやっている感覚はなかったです。体力は消耗していましたが、それは石田選手も一緒だったと思いますし。
__長い試合だと「早く終わりたいな?」とか思わなかったですか?(笑)
木谷:まったくないですよ!(笑)。勝つ事に必死でしたから!前阪先生と非常に厳しい稽古をしてきましたし、「勝利への執念」です。
__失礼しました! 試合展開はどうでしたか?
木谷:試合中に一つ思ったのは、石田選手は隙がないです。打っても捌かれ、隙を見せたら必ず打ってきますから。「攻め」が強かったです。とはいえ、自分の剣道を信じて攻め続けました。
__そして、最後は見事な突きでした。
木谷:やはり試合前に母校・帝京第五での稽古できたことが大きかったですね。最後の一打は、石田選手のたった一瞬の隙がわかったんです。「ここだ!」って突きを打つことができました。どこかで突きを打とうとは思っていましたが、最後は反射的に打てました。
__カッコ良かったですよ!
木谷:そうですか?アハハ
__言わなきゃ良かった(笑)。ウソです。 優勝の感想は?
木谷:ホント嬉しかったです!優勝以外は、1回戦負けも一緒だと思って出場していました。ただ、自分だけの力で優勝できたのではないです。先生方、チームメイトのおかげです。
__恵まれた環境なんですね。優勝直後の東西対抗では、見事に・・・(笑)
木谷:あ〜 それいいますか!今日は、優勝の話しだけじゃなったんですか!(笑)。日体大の柳谷選手は、ホント強かったですよ!!早いし、動きが読めなかったですね。
__そうでしたか。
王者として、返り討ちにする。
2連覇が学生最後の目標
__最後に、今後の目標をお願いします。
木谷:九州学生大会で優勝する事ができたので、もう「全日本学生で二連覇」しかないです!!王者として、返り討ちにするくらいの気持ちです! ちょっと言い過ぎかな・・・(笑)
__それくらいの気持ちで大丈夫だと思います!学生剣道界でいま、その発言をできるのは木谷選手だけですよ!(笑)前回の優勝大会、選手権で個人で優勝しているんですから。
木谷:ただ九州学生大会でも、まだまだ課題が残る試合内容だったので、1つでも多く克服して10月の全日本学生優勝大会にのぞみたいです!!
__期待しております!!今日はお忙しいところありがとうございました!!
木谷 洋亮(きたに ようすけ)
昭和63年7月1日生まれ 広島県出身
剣道四段
・広島県・育成館道場にて剣道を始める。
・市立竹原中学校
・帝京第五高校
・鹿屋体育大学
※2016現在、愛知県警
【育成館道場】全国道場連盟大会(団体)準優勝
【竹原中学校】全国中学校剣道大会 出場
【高校】全国選抜剣道大会 優勝、インターハイ個人出場
【大学】全日本学生優勝大会 優勝1回 3位1回、全日本学生剣道選手権大会 優勝