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佐野日大剣道部ってどんなとこ!? 大関監督が語る。
強豪校への道。指導方針とは??
大関利治監督、部員とは自然体で接するも稽古では厳しい視線も。
近年、栃木県男子代表として全国高校選抜やインターハイに出場し上位進出を果たすなど、強豪校として名を上げている佐野日大。6月におこなわれたインターハイ予選・団体戦では決勝で惜しくも敗れたが、個人戦では上位を独占し岡山インターハイへの出場を決めた。また、女子部は団体での全国大会への出場は叶っていないが、あと一歩のところまで来ている。
部員は少年剣道でもレベルの高い栃木県を中心に関東、そして全国から集まっている。遠方からの選手は学校に併設されている寮で共同生活をしている。
そして、この剣道部を率いているのが大関利治監督。大関監督は栃木・練兵館から栃木南高校、筑波大学で活躍し、全日本剣道選手権においてもベスト16という成績を残している、名選手でもある。剣道部部長には安藤昇先生、荒井奈津美コーチの3人体制で剣道部を強化している。
佐野日本大学高等学校は「佐野厄除大師」や「佐野ラーメン」で有名な栃木県佐野市にあり、都心から車で1時間程度。
そして、剣道部の稽古がおこなわれる道場は数年前に大関監督監修のもとに改築され、陽の入る明るい道場内と厳選された無垢の床材を使用した床は踏み込みの音も響き渡り、絶好の稽古環境となっている。
取材当日、部員達が集まり先輩が後輩へ指示を出すようなピリついた雰囲気になるかと思っていたが、先輩後輩関係なくリラックスし談笑していた。この雰囲気について大関監督は「ユルくて困っちゃいます」と話していたが、この先輩後輩の仲の良さもチームワークとなり士気高める要因の一つだろう。
強豪校だけに稽古内容については「長くてキツい稽古」を連想していたが、これも予想を裏切るものだった。
大関監督は「私は長い時間稽古するのは好きではないです。また、同じメニューを繰り返すのも好きではない。繰り返し積み重ねることも「修行」という意味では当然必要ではありますが、同じことに慣れてしまうとそれ以上を求める意識、向上心が鈍くなってしまう気がします。そのことを踏まえ、練習メニューはバリエーションを増やすようにしています。また、部員に課題を与えて考えさせるようにしています。」と話した。
稽古は2時間以内で短時間、稽古内容はマンネリ化しないように曜日毎に変えている。通常は一週間を1サイクルとし、週末におこなわれる大会や遠征や練習試合などを念頭におき、コンディションの調整と鍛える稽古を組み合わせている。
・月曜日、掃除、自主練習。
週末の試合等の疲れを取る。自主練習に関しては「どうせやらされるのだろう」と思いきや、部員にそれぞれの意思に任せており、帰る部員もいれば、それぞれの課題を克服する稽古をする部員もいる。
・火曜日、サーキットトレーニング「剣トレ」中心のメニュー(※稽古潜入コーナー参照)
・水曜日、トレーニング、走り込みや階段ダッシュ。「面を付けない」稽古、道場での素振りや摺り足、(面を付けない)追い込み稽古。
・木曜日、基本・技稽古、地稽古
・金曜日、基本稽古、試合を想定した稽古、部内戦など週末に向けた稽古をとりいれる。
・土曜日・日曜日、大会・遠征・練習試合。(試合等がない場合は、基本・技・剣トレなど通常稽古。)
チームの強化方針について「10年以上前、チームがなかなか勝てていなかったときに他県の強豪校を研究しました。練習試合で胸を借りだけではなく、その選手達が面を外した後の行動も含めて。そこで一つわかったことは、うちの部員にはない「自主性」があったのです。例えば、稽古で怒られたことや口数の少ない先生の指示に対して、その意図を汲み取ろうとすることも自主性につながるのだと感じました。佐野日大の部員達には自主性を求め、月曜日の自主練習の日をはじめ、日々の行動についても私が指示を出さずとも自分たちの考えで行動できるように求めています。」
指導した事のみをやるのではなく「考えさせること=自主性」により、さらなる成長を見込むのだ。
指導については「まず、監督とは部員のマネージメントです。指導に関しても各部員に対してそれぞれ課題の出し方、練習メニューや試合に向けたモチベーション・コンディショニングなどをアドバイスし、マネージメントしていくことが大切だと思っています。どのようなタイミングで諭し、喝を入れていくか、その子に合わせて対応するようにしています。
いまは剣道人口が少なくなっていることもあり、小・中学校(または少年剣道)で活躍した資質のある選手がそのまま高校、大学で活躍していることが多く、昔のように「これから(高校で)鍛えれば強くなる」と思う選手が少なくなっています。昔はいろいろな剣風の選手がおり、小・中学校の頃は無名だった選手が高校で急に強くなったこともたくさんありましたが、いまは小さい頃から良い指導も受けており、また、大会や練習試合も多く経験し、ある程度完成された選手が多いと感じます。
そこで私になにができるかと考えた時、剣道は強くても考え方が未熟な部分があり、そこを育てること、すなわち人間性の成長を考えています。剣道の技術的なことより、人間性を育てる事によって剣道も強くなる事が多々あるのです。
そして剣道の部分では、攻めながらも守りで終わらず、さらに攻めて終わる「攻防一致」を心がけるように指導しています。その中で、それぞれに選手の個性を生かして強くしたいと思っています。」
攻防一致という意味で印象的な試合は、3月に開催された全国高校選抜の予選リーグ初戦で強豪校と対戦し引分けた試合。「守りで終わる」剣風だったら、きっと負けていたのではないだろうか。話を聞いてあの試合の意味が深まった「さらに攻めて終わる」という事が選手にインプットされた結果なのだ。
そして個性という意味では、今年の佐野日大のレギュラーメンバーを見ても個性に溢れている。一つの例としては、ある大会で大将をやっていた選手が、別の大会では先鋒にチェンジし適応していた。その選手の個性と可能性を見極め采配した知将・大関監督。
選手との接し方、メッセージとして大関監督は「自然体を心がけています。やることはやらせますが、時に優しく、メリハリを付けています。ただ、情熱だけは伝えていきたいと思っています。部員達には何事も楽しんでもらいたいですね。キツい厳しい事も楽しんで日本一になることを目指しています。成長のためにも「愛される、応援される選手」になって欲しいですね。」と話した。
女子部の強化も進む。
応援される選手とは、怒られて反省し萎縮してしまうより、褒められた方が強くなれるという意味が込められている。
男子キャプテンの吉田選手は「稽古は短時間で集中し、内容の濃いものにしていくよう心がけています。そして一人一人が意識を高めてチームのレベルを上げていきたいと思っています。」と力強く話してくれた。
最後に、女子部は栃木県の予選で全国選抜、インターハイ団体ともに3位、インターハイ個人予選では3位に2選手と本当にあと一歩のところで全国大会出場を逃した。県大会突破を目指す荒井コーチは「過去に個人ではインターハイ出場選手もいるのですが、団体戦では関東大会に出場していますが全国大会がまだなので、男子と共に出場できるようにしたいです。(課題としては)試合の途中で集中力が切れてしまう事があるので、修正していきたいと思います。」と語った。
どんどんひも解かれていく強豪校の極意!
次は基本稽古と佐野日大オリジナルサーキットトレーニング「剣トレ」を中心、大関先生の解説付きで紹介!
【稽古】
日替わり稽古メニュー
月曜日
- ※週末の試合等の疲れを取る日
- ・掃除
- ・自主練習
それぞれの課題を克服する稽古をする。体調に応じて帰る部員もいる。
火曜日
- ・「面を付ける」稽古日
- ・サーキットトレーニング「剣トレ」中心の稽古メニュー
水曜日
- ※「面を付けない」稽古日
- ・トレーニング
- →走り込みや階段ダッシュ
- ・道場で素振りや摺り足
- ・「面を付けない」追い込み稽古 等
木曜日
- ※通常稽古日
- ・基本・技稽古、地稽古
金曜日
- ※目的に応じた稽古日
- ・基本稽古
- ・試合を想定した稽古
- →部内戦など週末に向けた稽古を取り入る
土曜日・日曜日
- ※大会・遠征・練習試合。
- ※試合等がない場合は、基本・技・剣トレなど通常稽古
基本稽古メニュー
面・突きのポイント!
佐野日大オリジナル・サーキットトレーニング【剣トレ】
サーキットトレーニングにはスピード、打突力(手の内)、その場で相手をとらえる技術(出頭)、相手が下がっときとらえる技術(追い込む)を組み込んでいる。
5人一組になり、各メニューを30秒ずつおこなう。とにかく「全力」でやる!
- ・Aパターン【打ち込み】切り返し、早素振り、その場で打つ小手面連打、左右胴の切り返し 各30秒
- ・Bパターン【追い込み】面、小手、小手・面、胴 各30秒(道場2往復)
※通常稽古時はA、Bを2~3セットおこなう。
剣トレのポイント!
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スペシャル動画・稽古風景&選手インタビュー!
第1回LET’S KENDO杯〜佐野日大新人戦トーナメント!〜
佐野日大の次世代を担う精鋭8選手によるガチ一本勝負!
※LET’S KENDO特別ルール
・3分一本勝負(延長戦なし、決勝戦のみ延長戦あり)
・判定は、観戦者の拍手の大きさによって決定する。
・決勝は反則2回・一本を廃止。「有効打」により勝負を決する。
・観戦者の声援OK。フラッシュ撮影は禁止。
・その他、臨機応変に決定。
好試合続出!緊張感の一本勝負!!
試合ハイライト
1回戦・第1試合、オープニング試合は中尾(2年)と坂田(1年)の対戦。坂田は面を中心に積極的に攻め、中尾は逆胴、小手、面と技を散らす。試合終了間際、両選手はより激しさが増し、最後は坂田のメンと中尾の小手が交錯し、審判の旗は坂田に上がり1回戦突破を決めた。負けてしまった中尾は悔しさを隠さず、このLET’S KENDO杯がガチであることを証明してくれた。
1回戦第2試合、中学時には全国で活躍した選手同士の対戦、志良堂(1年、潮田中出身)と大平(1年、東松舘)。両選手とも動きを止めないスピーディな展開。2分過ぎ、志良堂が面を狙い足が止まった隙を大平が見逃さずに放った面が一本となり勝利した。
1回戦第3試合、小柄な斉藤(1年)と長身の高橋(2年)の一戦。高橋は試合開始早々から前で勝負、面を中心に攻め立てる。対する斉藤は胴、またタイミングよく思い切った面を見せるも時間切れ、初の観客拍手判定となり、6:4の拍手量で高橋が勝利した。
1回戦第4試合、地元栃木出身、間々田中で全中でも活躍した西野(1年)と、群馬から佐野日大へ入学した島田(1年)の対戦。試合開始から激しく打ち合い、西野が島田の面の誘を、島田は勝負をかけて面に飛んだが、西野がコテを合わせて一本奪い勝利した。
準決勝第1試合、坂田対大平。坂田は東松舘出身選手との連戦となった。試合開始と同時に大平が飛び込んだメンが一本となり、坂田は何もできずに敗退となってしまった。
準決勝第2試合、高橋対西野。第1試合に触発されてか、試合開始に面に飛び込んだ高橋、お返しとばかりに西野も面を返す!両選手の奮闘に観客からも「ツキだ!ツキにいけ!」とゲキが飛ぶ。最後は斉藤の面に西野が返しドウを決め決勝進出を決めた。
決勝戦、大平対西野。両選手ともはやる気持ちがあり蹲踞が合わない場面も。試合序盤に大平の逆胴、西野が諸手突き、そして大平も突き返すなど激しく打ち合う!最後は西野、大平ともしっかりと構え合い、両選手とも勝負と感じたのだろう、相面となった。この勝負、西野のメンに旗が3本上がり優勝をきめ、大平もその面を認めるように天を仰いだ。
優勝した西野は高校初タイトル?を奪取し「嬉しいです!」と笑顔で答えてくれた。
今回は「佐野日大・新人戦」として1、2年生8選手に出場してもらった。
入学間もない選手、これから勝負の2年生、どちらもハイレベルの選手だったことは見てもらえばわかってもらえただろう。今後も佐野日大の活躍に期待したい!
佐野日大の皆様、ご協力ありがとうございました!!