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※更新:〜11/10 決勝〜準々決勝、3〜2回戦、1回戦・32試合分ハイライト
村上哲彦が初優勝!!天皇杯は瀬戸内海を渡り初の愛媛へ!決勝で安藤から二本勝ち
令和4年/2022年11月3日(木・祝)、第70回全日本剣道選手権大会が東京・日本武道館にて開催された。
第70回の記念大会の決勝は、10回目の出場を果たし優勝候補の安藤翔(東京)と村上哲彦(愛媛)が対戦し、大方の予想をはるかに上回り、村上が鋭く早いメンを日本決めて安藤から勝利し、初優勝を果たした。
村上は今大会が2度目の出場、前回大会のベスト8から今大会優勝と大きくステップアップを果たした。村上は愛媛県松山市出身、剣道の名門・新田高校から地元・松山大学に進学し中四国学生個人優勝、えひめ国体では優勝など活躍し、現在は媛県警察機動隊に所属し、全国警察大会でも愛媛県警チームの勝利に貢献した。
惜しくも二位となった安藤。その活躍は、あらためて言うまでもない。悲願の優勝を目指し初の決勝へコマを進めたが、栄冠を手にすることができなかった。大会後の表情、口調は悔しさに溢れていたが、再びこの舞台に立ち「日本一」を勝ち取ってもらうことを願う。
結果
優勝 村上哲彦(愛媛・警察)
二位 安藤 翔(東京・國士舘大教員)
三位 矢野貴之(東京・警察)
三位 池田虎ノ介(福岡・筑波大)
優秀選手
大谷翔平(福島)、松本和明(香川)、山下雄輔(三重)、中澤公貴(高知)、林田匡平(福井)、松﨑賢士郎(茨城)
決勝
×安藤(東京)( 勝ち メメ)村上(愛媛)○
準決勝
○安藤(東京)(ドコ 勝ち )矢野(東京)×
○村上(愛媛)(メ 一本勝ち )池田(福岡)×
準々決勝
○安藤(東京)(メ 一本勝ち)大谷(福島)×
×松本(香川)( 一本勝ち コ)矢野(東京)○
×山下(三重)( 延長 コ)村上(愛媛)○
×中澤(高知)( 勝ち ココ)池田(福岡)○
3回戦
×草野(大阪)( 一本勝ち メ)安藤(東京)○
安藤は上段・草野と対戦し、安藤が攻め草野の構えを下げさせてメンに飛び込み一本勝ち×林田(福井)(メ 延長 反メ)大谷(福島)○
大谷がメンで先取するも林田もメンをすぐに取り返す。林田が試合中の反則と竹刀落としの2回で大谷が2本勝ちとなった○松本(香川)(メ 一本勝ち )合屋(京都)×
積極的な打ち合いとなった一戦。合屋の諸手突きに松本が引きながらメンを決めて一本勝ち○矢野(東京)(コ 延長 )松﨑(茨城)×
矢野は警視庁で持ち前の攻めがより鋭く。前々回王者の松﨑と延長となり、最後は素早い攻めからコテを決めて勝利した×後藤(石川)( 延長 コ)山下(三重)○
山下は序盤戦から攻めの効いた打ちをだしていた。この試合でも延長で上段から諸手コテを後藤に決めて延長戦を制した×小倉(和歌山)( 延長 メ)村上(愛媛)○
村上は溜めの効いた攻めを見せる。積極的な小倉に対しても同様に、延長でじっくり攻めてメン一撃で勝利した○中澤(高知)(ド 一本勝ち )中武(宮崎)×
試合中盤に中澤が面返しドウで先取。その後、中武が厳しい攻めで面や突きなどを繰り出すも、中澤も前にでて対応し有効打を許さず一本勝ち○池田(福岡)(コ 延長 )山本(奈良)×
学生対決となった池田(福岡・筑波大)と山本(奈良・日体大)。体格を生かした山本に対し、研ぎ澄まされた攻めの感覚とスピードで対応する池田。延長で池田が面から変化するようにコテを打ち一本とした
2回戦
×玉田(徳島)(コ 勝ち メメ)草野(大阪)○
上段・草野がメンで先取するも玉田も上段の左コテを決めて返すが、最後は草野が片手メンを決めて二本勝ち○安藤(東京)(コメ 勝ち )鴨崎(岡山)×
安藤は鴨崎と対戦し、攻めの強さでコテを決めさらにメンも決めて二本勝ち×松尾(長崎)( 勝ち メメ)林田(福井)○
林田は松尾から面体当たり引きメンのような流れで先取し、2本目は攻めてメンを決めて二本勝ち○大谷(福島)(メ 一本勝ち )浦川(神奈川)×
大谷は浦川から試合終盤に出ばなメンを決めた。その後、浦川がより積極的に攻めるも一本は奪えず大谷が勝利した×國友(福岡)( 勝ち コメ)松本(香川)○
國友の攻めの強さから松本は崩すことができないが、國友の小手の打ち終わりに松本がメンを決めた。二本目は、國友の攻めに合わせてコテを決めて松本が二本勝ち○合屋(京都)(メメ 勝ち )伊藤(秋田)×
合屋は攻め込み伊藤からメンを決めた。返したい伊藤だったが崩しきれない。試合終盤、立ち合いから合屋が出ばなメンを決めて二本勝ち×伊澤(北海道)( 勝ち ココ)矢野(東京)○
試合序盤、胴を狙った伊澤へ矢野がコテを決めた。積極的な攻防が続き、最後は矢野が鋭く攻めてコテを決め二本勝ち○松﨑(茨城)(ココ 勝ち )小角(大阪)×
松﨑と小角の同年代対決は、松﨑がコテを二本決めて勝利した。2度目の出場の小角、今後の活躍に期待したい×西村(熊本)( 勝ち メコ)後藤(石川)○
西村は持ち味の小手を中心に攻める。試合中盤に後藤が引きメンを決め、攻める西村に対しコテを決めて後藤が二本勝ち×清家(大阪)( 延長 コ)山下(三重)○
上段から積極的に攻める山下、清家は片手面に返し胴を狙ったが旗は一本のみ。延長で山下が諸手コテを決めて勝利した○小倉(和歌山)(メコ 勝ち )西澤(長野)×
上段の西澤に対し小倉は引きメン、打ち合いからコテを決めて二本勝ち×百田(福岡)( 延長 ツ)村上(愛媛)○
見応えのある剣先で攻防が続き延長戦となり、最後は村上が諸手ツキをきめて勝利した○中澤(高知)(ド 延長 )菅野(岩手)×
国士舘大では中澤が先輩という間柄。試合は一進一退の展開が続き延長戦となり、最後は遠間から菅野が面を狙ったが中澤が胴を決めて勝利した×寺島(富山)( 延長 メ)中武(宮崎)○
攻め合うもなかなか思い切った技がだせない互角の展開が続いた。最後は寺島の攻めにあわせて中武が出ばなメンを決めて勝利した○池田(福岡)(コ 一本勝ち )川本(山口)×
落ち着き中心をとりながら攻める池田、川本は試合開始に鋭い面を見せたが攻めきれない。試合終盤、池田が鋭く攻めてコテを決め一本勝ち×佐藤(千葉)( 勝ち ツメ)山本(奈良)○
7度目の出場となった佐藤と初出場の山本。先をかける山本に対応する佐藤だったが試合中盤に山本が飛び込みメンを決めた。手数を増やした佐藤だったが最後は山本が諸手ツキを決めて二本勝ち
1回戦・第1試合場
1×加藤(千葉)( 勝ち メメ)玉田(徳島)○
玉田は初戦から思い切り良く、加藤からメンを二本決めて勝利2×上村(大分)( 延長 メ)草野(大阪)○
何度も延長を繰り返し試合開始から約1時間、最後は草野が上村の動き出しに出ばな片手メンを決めて勝利した3○安藤(東京)(メメ 勝ち )中村(岐阜)×
安藤は強い攻めから逆胴を狙い、中村の動きがよく見えている印象。安藤は出ばな面を二本決めて勝利4×川木(山形)( 延長 コ)鴨崎(岡山)○
今大会出場最年長45歳の川木は剣先を動かし鴨崎へ攻めいるも、鴨崎も順応し攻め返す。延長戦、鴨崎が素早くコテに飛び込み勝利した5×福居(埼玉)(メ 勝ち メメ)松尾(長崎)○
初出場同士の対戦。福居がメンで先取するも、松尾が出ばなメン、小手のあと打ちで引きメンを決めて逆転勝利6○林田(福井)(メメ 勝ち )権丈(愛知)×
初出場の権丈だったがいいところを出せず、林田がメンを二本決めて勝利7○大谷(福島)(コメ 勝ち メ)前田(兵庫)×
一本を取り合う展開となったが、最後は大谷がメンを決めて勝利8×上江洌(沖縄)( 勝ち メコ)浦川(神奈川)○
試合開始の立ち合いで浦川が出ばなコテを決め、すぐにメンを奪い二本勝ち9×山名(静岡)( 勝ち メ)國友(福岡)○ 10○松本(香川)(メ 延長 )山本(千葉)× 11○合屋(京都)(メ 延長 )岡田(広島)× 12○伊藤(秋田)(メ 延長 )岩切(東京)× 13×杉本(佐賀)( 一本勝ち コ)伊澤(北海道)○ 14×吉田(新潟)( 勝ち ココ)矢野(東京)○ 15○松﨑(茨城)(メ 延長 )加藤(島根)× 16×中田(山梨)( 勝ち メメ)小角(大阪)○
1回戦・第2試合場
1後藤(石川)(ド 延長 )地白(北海道)×
地白は要所で思い切りのいい技を出すが、延長で後藤が引きドウを決めて勝利2○西村(熊本)(メ 延長 )寒川(茨城)×
両選手とも慎重な立ち上がり、西村は徐々に間合いをつかみ出し、寒川も思い切りのいい面を見せる。延長戦で西村が引きメンを決めて勝利した3×佐々木(鳥取)( 延長 メ)清家(大阪)○
清家は面や突きなど積極的に攻める。佐々木も徐々に小手などを出し追い詰める。延長2回、最後は清家が飛び込みメンを決めて勝利した4×星子(東京)( 延長 コ)山下(三重)○
上段の山下は決めきれなかったが星子の部位をとらえる。星子はペースを握りきれず。延長戦、山下は片手面から諸手コテの連続技で前回大会王者から勝利5○小倉(和歌山)(メ 延長 )佐藤(青森)×
初出場同士の一戦は延長戦に。積極的に攻め合う両選手だったが最後は小倉が引きメンを決めて勝利6×足立(埼玉)( 延長 メ)西澤(長野)○
足立はベスト8に入ったこともある競合だが、初出場で上段の西澤を崩しきれず試合終盤に西澤が片手メンをきめて勝利7×真田(神奈川)( 一本勝ち メ)百田(福岡)○
8×三雲(滋賀)( 勝ち ドメ)村上(愛媛)○ 9×田島(埼玉)( 一本勝ち メ)中澤(高知)○ 10×久田松(愛知)( 延長 ツ)菅野(岩手)○ 11×菅野(兵庫)( 延長 メ)寺島(富山)○ 12○中武(宮崎)(ド 延長 )大平(栃木)× 13×宮本(東京)(コ 勝ち メメ)池田(福岡)○ 14×上野(群馬)( 一本勝ち メ)川本(山口)○ 15○佐藤(千葉)(メ 延長 )千田(宮城)× 16○山本(奈良)(コ 延長 )米丸(鹿児島)×
※速報
安藤、西村、國友、松﨑、矢野ら強豪選手は2回戦へ。
前回王者・星子、宮本が1回戦で敗退
開会式・公開演武
第70回全日本剣道選手権大会
令和4年/2022年11月3日(木・祝)
東京・日本武道館
開会式:9時20分 試合開始:10時20分
※LET’S KENDOでは速報予定です
組合せ
今大会も豪華な出場選手が揃った。
前回優勝者出場枠が復活し、星子(東京)の出場が確定。その東京からは宮本、矢野、岩切、そして北海道警から国士舘大学の教員となった安藤翔の4選手が出場する。
今大会、過去3回の優勝を誇る西村(熊本)、松﨑(茨城)、國友(福岡)の優勝選手も出場を決めている。また、初出場戦が29選手と約半数を占めている。
LET’S KENDO的注目選手としては、草野(大阪)は積極的な攻めが印象的な上段選手であり、勢いに乗ったら手がつけられなくなりそうだ。1回戦では上村(大分)と対戦。埼玉から初出場を決めた福居は実業団の伊田テクノスに所属。水戸葵陵高校、国士舘大学で活躍したことは記憶に残る。1回戦では松尾(長崎)と、好勝負が期待できそうだ。また、福居の近くには過去二位の実績がある林田(福井・教員)がいる。10月の警察大会団体二位の北海道警では先鋒で活躍した伊澤(北海道)は1回戦で、杉本(佐賀)と対戦。星子や松﨑と同年代の大阪・小角。大学へ進学せず大阪府警で経験を積み、選手権2回目の出場。今年も国体や警察大会に出場している。1回戦で中田(山梨)と対戦。
右ブロック、北海道警では大将を務めたベテランの地白(北海道)は1回戦で後藤(石川)と対戦へ。地白は粘り強さと勝負感があり過去には三位にも入賞している。1回戦で注目カードの一つ、西村と初出場の寒川(茨城)。筑波大出身対決であり、世代を代表する選手同士の対戦だ。高千穂高校でインターハイ優勝し中央大でも活躍した清家(大阪)は、大阪府警へ進み選手権は激戦の大阪予選を勝ち抜き初出場を果たした。1回戦では佐々木(鳥取)と対戦し、2回戦で星子との対戦となるか。埼玉県警チームでは大将を務めた足立(埼玉)は6回目の出場。選手権、警察選手権ともベスト8進出を果たす実力選手。1回戦で西澤(長野)と対戦。真田(神奈川)対百田(福岡)、実業団選手ながら6回目の出場の三雲(滋賀)は、前回大会ベスト8の村上(愛媛・警察)と対戦と注目カードが揃っている。
愛知の若手有望株・久田松(警察)は1回戦で、7回目の出場の菅野(岩手・教員)と対戦し、2回戦では田島(埼玉・警察)と中澤(高知・警察)の勝者と対戦。筑波大で大将の大平(栃木)は1回戦で中武(宮崎)と対戦。大平は出場3回目、上位進出も期待できる選手の一人だ。
東京予選優勝の宮本(警視庁)は、福岡から初出場する池田(筑波大)と興味深い対戦が実現。佐藤(千葉)と武田(宮城)の対戦、また、思い切りのいい剣道が印象的な山本(奈良・日体大)と米丸(鹿児島・警察)の初出場対決となっている。