※勝負強さが際立った中央大が12年ぶりの大会制覇!
平成28年9月11日(日)、第65回関東学生剣道優勝大会が東京・日本武道館にて開催された。
大会へは96校が参加しトーナメントを勝ち上がり優勝を目指す。試合は7人制団体戦、4分3勝負。
上位進出校には全日本学生剣道優勝大会への出場権も掛かっており、4回戦出場校(ベスト16)、また、全日本出場決定戦を勝ち抜いた4校がその出場権を得ることができる。前回大会は22校が出場したが、今大会は20校と枠が少なくなっている。
1、2回戦は強豪校同士の対戦は少なかったが、1回戦で立教大が大東大に代表戦で敗れた。國學院は関東個人三位の実績を持つ藤崎、1年生で島原出身の藤野など強豪選手を揃えたが、2回戦で東農大に代表戦で敗退した。
勝利チームに全日本出場権が得られる3回戦からは厳しい対戦が始まった。
専修大と法政大の一戦は、先鋒戦で専修・森光が勝利したが、法政は次鋒・小川、中堅・米満、副将・平井が勝利し3-1で法政が勝利した。専修は全日本出場決定戦(敗者復活戦)で勝ち上がり全日本出場を決めている。
法政は続く4回戦で対戦した国際武道大との一戦、国武大三将・八木が法政・持原
から引きメンを決めて1本勝ちし、国武大1勝リードで大将戦となりここで法政大将・平井が1本勝ちで取り返し代表戦へ。国武大・岩切と法政・田中は30分近く試合がおこなわれ、最後は岩切が鋭くメンを放ち勝利し準々決勝進出を決めた。
前回大会優勝の日体大は4回戦で東海大と対戦し一進一退、先鋒から副将までの6戦で引分け、大将戦へ。試合開始と同時に日体大・冨田が小手に飛び込んだが東海大・後藤は引きメンを合わせて先取。さらに試合中盤、冨田が面に来たところへコテを決めて後藤が2本勝ちし、東海大が1-0で勝利しベスト8進出を決めた。
国武大と東海大が準々決勝で対戦。国武大は13年ぶりのベスト4進出を狙う。両チームとも強豪校との接戦をものにしてここまで勝ち上がっている。試合は東海大が先鋒・田中、次鋒・柳村がともに1本勝ちし、五将戦では国武大・斉藤が勝利。東海大リードでの大将戦で、この日キレのある動きで勝利を重ねていた東海大・後藤が国武大・中田から2本勝ちしチームの勝利を決定付けた。
日大と慶応の3回戦は接戦となった。先鋒・次鋒を慶応が勝利し、五将・中堅で日大が取り返す。慶応は勢いを取り戻し副将・伊藤、大将・廣田が連勝し4-2で慶応が勝利した。日大は敗者復活で全日本出場を決めた。
慶応は4回戦で早稲田と対戦。早稲田は2回戦で東洋大と1-0、3回戦では亜細亜を2-1と粘り強く戦い勝ち上がって来た。勢いを慶応に感じていたが、特別な一戦なだけに早大も実力を一気に発揮し、4-0で早大が勝利した。
早大は準々決勝で筑波大と対戦。筑波は4回戦で東農大に序盤戦をリードされたが、筑波中堅・多賀谷、そして大将戦で筑波・加納の勝利で2-1でベスト8進出を決めた。
準々決勝、早大と筑波は1勝の重みを感じた試合。勝敗を分けた一戦は、中堅戦。試合序盤、筑波・田内が鋭いメンを決めて先制したが、2本目の立合いで小手を狙った田内に早大・森本がメンを放ちすぐに追いつくと試合終盤にさらにコテを決めて逆転2本勝ちし、この一勝で早大が準決勝進出を決めた。森本(龍谷大平安出身)はH25新人戦優勝メンバーではあったがその後試合出場はなく、4年生になった今年度は全日本学生個人に出場するなど活躍を見せやっと手にした団体レギュラーの座、そしてこの筑波戦という大一番で結果を残した。森本は準決勝でも活躍を見せた。
梅ヶ谷大将をつとめる中央大は、副将に曽我、村上、永井など強豪選手を揃え、3回戦で順天堂に4-1で勝利し5回戦で学習院からも勝利しベスト8進出。準々決勝では明治大と対戦となった。
明治大、先鋒に1年生の槌田、中堅に千田、副将に長谷川、そして大将に山田(1回戦は副将)と実力とめぐまれた体格の選手を軸に、3回戦の中央学院戦を6-1、4回戦の駒澤戦を3-1で勝ち上がり準々決勝へ勝ち進んだ。
中央大と明治大の準々決勝は興味深い一戦。九州学院出身選手が両チーム合わせて5選手、そして関東、九州等の名門校出身ばかり。オーダーの組み方や、1本で勝敗を左右する対戦だ。
先鋒戦、試合序盤で鍔ぜり合いからの別れ際に染矢が槌田から引きメンを決めて一本勝ち。その後、次鋒から副将まで引分けけたが、見応えのある一進一退の攻防が続いた。そして大将戦は現在の学生剣道界を象徴する中央・梅ヶ谷と明治・山田の対戦は、山田の勝利が絶対条件となる。試合展開は梅ヶ谷は守る事なくいつも通りの積極的なスタイル、山田は冷静に対処するも攻めあぐねる。序盤、近い間合いからの離れ際に梅ヶ谷がメンに飛び込み先取する。追い詰められた山田は諸手突きなど攻めるが、梅ヶ谷は山田の間合いを潰しながら攻め続け試合は終了し一本勝ち。中央大が2-0で明治から勝利し準決勝進出を決めた。この試合での有効打は2本。その2本とも一瞬の気の緩みがうまれやすい離れ際での打突をであった。そういったところを逃さない、中央大の勝利へ執念が上回った試合だと感じた。
準決勝、東海大と國士舘は、先鋒戦で國士舘・矢野が近い間合いから思い切ったメンで一本勝ち、五将戦で大柄の國士舘・五十嵐も豪快なメンを2本決めて勝利、そして國士舘三将・中村は鋭く間合いを詰めコテを決めて一本勝ちしチームの勝利を決め、続く宮本も2本勝ちし、結果4-1で國士舘が2大会ぶりの決勝進出を決める。
中央大と早稲田の準決勝は大接戦となった。先鋒戦では中央大・染矢が試合終了とほぼ同時にコテを決めて一本勝ち、中堅戦は早大・森本が中大・永井から小手返しメンを決めて1本勝ちし後半戦へ。三将戦では中大・村上、早大・小林が1本ずつ取り合い引き分けた。副将戦の試合開始の立会いで早大・勇が鋭く攻め中大・曽我の逆ドウを奪い先制し一本勝ちし、早大リードで大将戦へ。
中大・梅ヶ谷と早大・久田松の大将戦。勇同様に試合開始と同時に逆胴を狙ったがとらえられず。ややあり、梅ヶ谷の攻めに久田松は手元を上げて間合いを詰め下げた瞬間に梅ヶ谷が得意の引きメンを決める。取り返したい久田松だったがやはり梅ヶ谷を攻め崩せず。試合終盤には両選手による激しい打ち合いが繰り広げられるなど見応えのある展開となり、この試合は梅ヶ谷の一本勝ちで試合が終わり、勝負は代表戦へと持ち越された。
代表戦は再び大将同士の対戦となった。両選手とも攻守を使い分け、一打一打に集中する。梅ヶ谷は間合い感覚と巧み竹刀さばきをみせ、久田松は時に突き、逆胴を狙う。試合時間は10分が経過し、最後の一本は梅ヶ谷の伝家の宝刀・引きメンを決めて勝利し、中大として4大会ぶりの決勝進出を決めた。
梅ヶ谷のスピードに衰えはまったくないが、以前よりも引き面に審判の旗が上がりにくくなっている印象があるものの、それでも決めきる打突力は健在。
決勝戦、國士舘対中央大。中大は昨年末の新人戦メンバーがほぼそのまま主力となり今大会のぞみ決勝まで勝ち進んだ。対する國士舘は、大会最多優勝校であり強豪選手を揃え、さらに実力を付け見るたびに進化している印象。
個性を生かす中央大と正統派の國士舘の一戦は、やはり接戦となった。
先鋒戦、次鋒戦を引分け、五将戦で大型選手対決となる。中大は2回戦以来出場のなかった長身上段・三上ヘンリーを投入し、國士舘の五十嵐。三上が上段に構えると五十嵐は素早く間合いを詰め三上にじっくりと上段に構えさせないものの、三上も素早く反応し片手面や諸手小手で五十嵐に対応する。試合終盤にさしかかった頃、攻め合い間合いが近くなりすかさずリーチのある三上が引きメンを決め、一本勝ちで試合を終える。さらに中大三将・村上は試合序盤に鍔ぜり合いから引きメンを決める。返したい國士舘・中村は足を止めず積極的に攻めたが村上をくず事ができず、村上の一本勝ちで副将へつなぐ。
國士舘の副将は宮本、中大は曽我、高校時代から活躍する両選手の試合はキレのある動きで攻防し、試合終盤に曽我が打ち切れない面を出し手元があがったところへ宮本が逆ドウを放ち1本にし、一本勝ちで勝利した。
大将戦、1勝リードの中大に対し、勝利が絶対条件の國士舘。小柄な中大・梅ヶ谷に対し、大柄な國士舘・坂爪。坂爪はなかなか自分の間合い試合展開できず、梅ヶ谷は間合いを詰めながら面、引き技を狙う。坂爪は梅ヶ谷をくず事ができず、試合は引分けに終わり、中央大が2-1で國士舘から勝利し12年ぶり9度目の優勝を果たした。
優勝した中央大は梅ヶ谷だけではなく、どの選手にも共通していえるのは相手の隙を見逃さず打てる瞬発力と打突力を兼ね備え、勝負強さが強く印象に残った。きっと稽古においても、常に一本を狙う姿勢がつよいのではないだうか。全日本学生剣道優勝大会でも期待したい。
【結果】
優勝 中央大
二位 国士舘
三位 東海大、早稲田
ベスト8
国武大、流経大、明治大、筑波大
※全日本学生剣道優勝大会出場・20校(ベスト16、敗者復活戦含む)
※結果トーナメント(関東学連HPより)
※大会の詳細・結果は【関東学生剣道連盟HP】に掲載されております。
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【決勝】
×國士舘(1-2)中央大○
決勝戦!國士舘×中央大
・決勝、三将戦、中大・村上が引きメンを決めて一本勝ちし、中大が2-0とリードを広げる。
副将戦では國士舘・宮本が一本勝ちしたが大将戦で引分け、中大が2-1で勝利し13年ぶり9度目の優勝を果たした。
・決勝戦、先鋒、次鋒が引分け、中大五将・三上ヘンリーが引きメンを決めて1本勝ち。
【準決勝】
×東海大(1-4)國士舘○
・國士舘副将・宮本が2本勝ちしチームの4勝目となり、決勝進出を決めた。
○中央大(2 代表 2)早稲田×
早稲田リードでむかえた大将戦、中大・梅ヶ谷が勝利し代表戦へ。
再び大将同士の対戦となり、激しい打ち合いの末、梅ヶ谷が早大・久田松から引きメンを決めて勝利した。
【準々決勝】
○東海大 (3−1) 国武大×
×流経大 (0−4) 國士舘○
○中央大(2−0)明治大×
○早稲田(1−0)筑波大×
動画一覧
・明治、4回戦で駒澤に勝利。準々決勝で中大と対戦。
・前回大会優勝の日体大は、4回戦で東海大に大将戦で敗退!
・3回戦、法政対専修は3−1で法政が勝利。
専修大は敗者復活で全日本出場を決めた。
・中央大、3回戦で学習院から勝利。
・3回戦、日体大は成蹊大から勝利。上位進出を狙う。
・3回戦、慶応、日大の大接戦をものにし全日本出場を決める!
・筑波大、明学大に5-0で勝利。全体では、全日本出場権をかけて3回戦が始まる。
早大、國士舘、専修大、帝京大も2回戦突破を決める。
・シード校・東農大と國學院が2回戦で対戦!
・大接戦の末、代表戦で東農大・斉藤が引きメンで勝利!
・中央大、神大から3−0で勝利、2回戦突破を決める。シード校・日大も駿に勝利。
・帝京大は1回戦で東京農工大と対戦し、安定した試合展開で2回戦進出を決めた。
・1回戦、立教大対大東大の一戦は代表戦となり、白のたすき大東大・樋浦が立教・今村からメンを決めて2回戦進出を決めた。
・開会式、選手宣誓は日体大・冨田剣太郎。
9/11(日)、第65回関東学生剣道優勝大会が東京・日本武道館にて開催される。
大会へは69校が参加し、試合は7人制団体戦でおこなわれる。
そして、4回戦進出校(べスト16)と出場校決定戦(敗者復活戦)の勝者6校が、10月に大阪で開催される全日本学生剣道優勝大会への出場権が得られる。(※出場数は前回大会を参考)
※大会の詳細・組合せは【関東学生剣道連盟HP】に掲載されております。
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