大会レビュー
女子の部、新人チーム・三菱東京UFJ銀行(大手町)が初優勝!
3月5日(土)、全日本実業団女子・高壮年剣道大会が東京都足立区・東京武道館で開催された。
大会は女子3人制団体戦、高壮年の部個人戦・五段以下、六段以上の3部門がおこなわれた。
まず女子団体、4月に入社を控えた新卒学生選手の出場が認められており、新戦力を加えたチーム編成で大会へエントリーするチームも多い。そして、今大会ではそのルールにより、波乱ずくしの大会となった。
大会2連覇中のパナソニック(ES)勢は、グループチームすべてベスト8に進出を逃す結果となった。前回大会優勝のパナ(ES門真)は2回戦で若手メンバーで揃えたJR東日本リテールネット(東京)に2-0で敗退し、前々回優勝のパナ(ES本社)は3回戦で西日本シティ銀行(本店)と代表戦になり、パナES・元木が西日本シティ・宮本を奪われ敗退した。西日本シティは2回戦で大塚家具に勝利し、強豪相手に勝利を重ね上位進出も見えてきたが、4回戦で東京海上日動(本社)に代表戦で敗れた。
前回大会二位の全日本武道具は、中堅に新卒選手・西尾(鹿体大4年)を配置し、盤石の体制で大会へ挑んだ。初戦から大将戦、3、4回戦では代表戦もあり苦しい試合を大将の興梠が乗り切る。チームの歯車があわぬまま迎えた準々決勝でNTTと対戦し、NTTは先鋒戦で勝利、中堅戦を引き分け、勝利が必要な全日本大将・興梠だったが果敢に攻めたが勢い余って場外反則等2回で一本負けし、この対戦は2-0でNTTが勝利した。
昨年6月の関東実業団で初優勝したJR東日本リテールネット(本社)は2回戦でパナ(ES横浜)に1-0で敗退。パナES横浜はこの勝利で波に乗りかけたが、4回戦で大同特殊鋼(本社)に敗退。
大同特殊鋼(本社)は前回大会ベスト8と着実に実力をつけているチームであり、準々決勝では東京海上日動を2-0で下し準決勝のNTT戦でも2-0と勢いにのり決勝進出を決めた。
決勝の対戦相手は三菱東京UFJ銀行(大手町)。4月に入社を控えた学生選手3名によるチーム編成。先鋒の斎藤は明治大、中堅の古谷田は東京学芸大で活躍し、大将の五十嵐は日体大で大将をつとめた強豪選手。とはいえ、3選手とも大会へは初エントリーであり、このチームの勝ち上がりを予想できたものは少なかったのではないだろうか。
MUFJは初戦となった2回戦でALOK(東京)を本数差で勝利し、4回戦ではNTT東日本と代表戦、準々決勝のNTT西日本、準決勝の福岡トヨペット(A)をそれぞれ大将戦で五十嵐が勝利し1-0の僅差の勝負をものに決勝戦までたどり着いた。
決勝戦、初優勝を懸けた大同対MUFJ。先鋒戦、MUFJ・斎藤が試合序盤に大同・吉田から打ち合いの中から一瞬の隙を見逃さずにメンを決めて一本勝ち。つづく中堅戦では大同・藤野がMUFJ・古谷田から絶妙なタイミングの引きコテ、さらに、同じタメの効いた引きドウを決めて2本勝ちし大将戦へつなぐ。大将戦、大同・吉本はMUFJ・五十嵐より頭一大きい選手だが、五十嵐は恐れずに面を中心に試合を組み立て、試合中盤に飛び込みメンを決め、つづく2本目の立会いで吉本の面の打ち終わりに合わせて放った引きメンが優勝を決める1本となった。本数でリードを許した状況を五十嵐の逆転勝利で三菱東京UFJ銀行(大手町)が初優勝へ導き、五十嵐は最優秀選手にも選ばれた。
例年、上位を独占する勢いだったパナソニックES勢が序盤で敗退し、さらに全日本武道具やJRリテールもベスト4に届かず、新人選手はなかなか活躍できない事も多いこの実業団大会で、新人3選手で挑んだ三菱東京UFJ銀行(大手町)の優勝。初出場ながら今後は追われる立場となり、今後の試合にも注目していきたい。また、強豪チームは6月の関東女子実業団、そして次回大会での制覇を狙い、女子大会は混戦となるだろう。
高壮年六段以上、山本有樹(NTT)が豪快な面で大会を制す!
六段以上で優勝した山本(NTT)、インタービュー映像を公開中!
高壮年大会は40歳以上の選手に出場権が与えられ、6段以上と五段以下の2部門に分かれ個人戦をおこなう。トーナメントは40歳代から70歳代まで概ね歳の近い順にトーナメントが組まれ、選手層の厚い40代選手は60歳代選手より多くの試合をおこなう変則的な組み合わせとなっている。
序盤戦から強豪選手が姿を消す。優勝経験のある上段・宮本(三井住友海上)は3回戦、鬼塚(富士ゼロ大阪)は3回戦で朝日(JRリテール)に勝利し勝ち進むも6回戦で敗退。前回大会優勝の日永田(グローリー)は5回戦、前回二位の南(NTT)は5回戦で香川(JRリテール)に鋭いコテを決められ姿を消した。その香川も6回戦で小森(大塚家具)に敗れた。
五段以下決勝、加藤(日通)は石井(テンプ)から延長でメンを決めて優勝。
強豪選手の勝ち上がりとしては、全日本選手権でも活躍した立花(九電)は初戦となる2回戦で北口(TOLL)に敗退。今年初出場の梅山(NTT)は、2回戦で野口(富士ゼロ)との強豪対決をコテを決めて制し、キレのある面を中心に勝ち上がり5回戦では、大会唯一の連覇を成し遂げている立見(三井住友海上)に敗退した。立見はNTT勢の対戦が続き6回戦で強豪・山本(NTT)と対戦し、最後は山本が渾身の面を決めると、さらに7回戦でも小森(大塚家具)からメンで勝利し、準々決勝の永鳥(日新製鋼)、準決勝戦でも梶山(三井住友銀行)からそれぞれ面により2本勝ちで決勝進出を決め、細川(鹿島建設)との対戦がきまった。
決勝進出者の年齢は山本が40歳、細川は50歳。トーナメントの特性上、決勝戦は歳の差の対戦となり体力、キレのある年下選手が勝つことが多いが、前回大会では年長選手の日永田が経験と判断力で南を下し優勝を果たしている。
山本と細川の決勝戦、山本は低い構えから面を幾度も狙うが細川は紙一重でしのぐ。細川も素早く間合いを詰めるが、山本を崩し切れない。延長戦に突入しても面を狙い続け山本は、優勝を決めた一本もやはり面だった。試合時間約8分の間に引き面は打たず、前へ前へと20回以上を面を放った山本。インタビューでも「自分は面から切り崩し剣道なので、そのスタイルを変えることは一切考えていなかった。」と面へのこだわりを語った。
五段以下の部は約300選手がエントリーし、準決勝で石井(テンプスタッフ)が谷(凸版)から勝利し決勝へ進出し、加藤(日通)と対戦。42歳の石井は体のキレと伸びのある面で、49歳の加藤を攻める。試合終盤に石井の面の動き出しに合わせて加藤が面を放ち先制したが、石井はすぐに飛び込み面を取り返す。延長戦へ突入しても運動量が落ちない石井だが、加藤が徐々に鋭い攻め面や逆胴など攻め始め、最後は石井の動きだしに合わせて加藤がまっすぐ打ち込んだメンが一本となり、加藤が優勝を果たした。
ハイライト
閉会式、六段以上優勝・山本(NTT)インタビュー
結果一覧
女子
ベスト4
- 優勝 三菱東京UFJ銀行(大手町)
- 二位 大同特殊鋼(本社)
- 三位 福岡トヨペット(A)
- 三位 NTT
敢闘賞(ベスト8)
- NTT西日本(本社B)
- 東京海上日動(本店)
- 全日本武道具
- 大同特殊鋼(星崎)
最優秀選手
- 五十嵐 蕗(三菱東京UFJ銀行(大手町))
6段以上の部
ベスト4
- 優勝 山本有樹(東日本電信電話本社)
- 二位 細川昭浩(鹿島建設)
- 三位 梶山和徳(三井住友銀行本店)
- 三位 田邊 勉(千葉銀行)
五段以下の部
ベスト4
- 優勝 加藤禎之(日本通運本社)
- 二位 石井丈司(テンプスタッフ本社 )
- 三位 谷 秀俊(凸版印刷本社)
- 三位 藤麻雄三(三菱東京UFJ銀行大手町支店)
表彰式
トーナメント表
決勝戦ハイライト
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女子団体決勝
赤 ○三菱東京UFJ銀行(大手町)(2-1)大同特殊鋼(本社)× 白
高壮年 六段以上の部 決勝
○山本(NTT)(メ 延長 )細川(鹿島建)×
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高壮年 五段以下の部 決勝
×石井(テンプ)(メ 延長 メメ)加藤(日通)○
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